海外に住む人なら理解してもらえるだろう、手に入る日本語の本はとにかく何でも読んでみる、という経験。自分の好みとは関係なく読み散らした本について書き散らす備忘録的ブログ。パリ在住なのでフランス語の本も多数。
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Truman Capote/トルーマン カポーティ 「In Cold Blood/冷血」
評価:
Truman Capote
Gallimard
¥ 5,392
(2006-02-06)

評価:
トルーマン カポーティ
新潮社
¥ 940
(2006-06)

 おもしろかったーー!!トルーマン カポーティの冷血。フランス語で読んだのでタイトルはDe Sang Froidでした。

読者には最初から誰が犯人かわかっていて、まあいわばその犯人たちの逃亡劇というか、なんとも間の抜けたやる気のない穴だらけの逃亡ルートを追い、私達読者は「でも動機は何?」と不思議なのでどんどん読み進んでいってしまう本。

殺人から始まるお話ですが、ミステリーやら推理やらそういうものではなく、まさに社会派小説とでも言うのでしょうか。アメリカの半端ない格差社会、もがいてももがいても上がれない階級、何かを最初からあきらめているような、犯罪に対する現実味のなさ、などなど、実際に起こった殺人事件を元に1965年に発表されたこの小説から読み取れることは、現代の世の中と何も変わっていないな、と思い知らされます。そしてまた、日本はまだまだここまでじゃないかもしれないけど、アメリカは60年代からこうだったのか、、、とびびった。

とにかく小説とは思えないおもしろさ。是非読んでみてください。
| 15:40 | アメリカ | comments(0) | trackbacks(0) |
Paul Auster/ ポール オースター 「Travels in the Scriptorium」
評価:
Paul Auster
Picador USA
¥ 583
(2007-12-26)

 いやー、おもしろかった!なんなんだろうか、このポール オースターのゆるく読めて、はらはらどきどきではないのに、先が知りたくて楽しめて、読後のすごい充実感。

この夏に、短いけれど5日ほどだけオレロン島に行っていたので、そのときのビーチ本。そしてホテルでのジャグジー本。

内容としてはスリリングなことは特に何も起こらない。一人の老人というかおっさんが、病室というか独房というか、一つの部屋にいて、そこで一日過ごす話。

アマゾンでレビューを読むと、「オースターを全部読んだことのある人は楽しめる」的なことが書いてあって、「あちゃ!オースターの本は対して読んでないのに、もう読んじゃった!」と一瞬思ったけど、いいのです。私は充分楽しめた。だってこういうの、少し視点を変えたら現実にもありそう。そしてこういう感覚は日常にもある。なんだか自分は永遠に続く連続ループの中に閉じ込められているような感覚。そこから抜け出る努力をしてみるけれど、やはり被害者ぶってる感じ。そしてそこから抜け出ることなんて本当は簡単なのかもしれないけれど、絶望のふりをしながらぬるま湯につかってる感じ。そういうのって年を取れば取るほど感じるのかなと思う。もしかして私たちはみな、どこか、この部屋にいるミスター ブランクなんじゃないかと思う。

もっとオースターの本を読んで、最後にまたこの本を読んだら、何か別のことを思うのかな。
| 18:32 | アメリカ | comments(0) | trackbacks(0) |
Philip Roth 「Everyman/Un homme」
評価:
Philip Roth
Vintage
¥ 742
(2007-04-05)



日本ではどうなのか知らないが、フランスでは大人気のアメリカ人作家フィリップ ロスの2006年の作品。フランス語で読んだ。

タイトルのとおり、ある一人の男の人の話。この「ある一人の」の部分が重要で、まさにどこにでもいそうな男性の晩年の記録。とはいっても世の男性がみな、彼のように女好きで三度も結婚しているわけでもなく、広告マンとして一世を築きお金に困らない引退生活をしているわけでもないので、もしかしたら世の男性がこれを読んだら「えらい贅沢な悩みや。」と思うかもしれない。ものすごくはしょって言えば、彼は孤独なんです。そこがテーマです。老いと孤独。これはもしかしたら男性でも女性でもリンクするものなのかもしれないけれど、私はまだ「老い」を自らのこととして感じる年齢ではないので、ちょっとそのへんが「小説だから大げさ」なのか「これが現実」なのか、判断つきかねるのが現状。

私の配偶者が数年前に、読んでもいないのにこの本を叔父へクリスマスプレゼントとして贈っていたのを思い出して、図書館で借りてきた。前半を読んでいるときは「私は女性だしまだ三十代だから、ものすごく共感する!というわけではないけれど、きっと60代の叔父さんが読めば感じ入るところが強くあるんじゃないか、と思うから、もう何年も経ったけど、あなたはきっといいプレゼントをしたはずよ。」などと配偶者へ言っていたけれど、後半に入るとなんだか老いどころかもう死への秒読みみたいになってきて、「あー、これはどうなんだろ。叔父さんどう思ったんだろ。」と大した会話をしたことすらない義理の叔父さんがこの部分を読んだらこう思うかな、いや、ああ思うかな、などとそんなことばっかり気になっていた。まあ後半、後半と言っても、この本の最初のシーンは主人公の男性のお葬式から始まるんですけどね、、、。

とにかくやっぱりフィリップ ロスはおもしろいです。興味深いというおもしろいだけじゃなくて、読んでて「ははは」「ふふふ」と結構笑えるところが多いという面白みもある。

| 14:24 | アメリカ | comments(0) | trackbacks(0) |
ダン ブラウン 「天使と悪魔」
評価:
ダン・ブラウン
角川書店
¥ 620
(2006-06-08)

評価:
ダン・ブラウン
角川書店
¥ 620
(2006-06-08)

評価:
ダン・ブラウン
角川書店
¥ 620
(2006-06-08)

 リヨンの友達から借りてきた。何年か前に同じ友達がダン ブラウンの「ダヴィンチコード」をくれて、すごく面白く読んだのを覚えている。

やっぱりそうなるとうろ覚えながら「ダヴィンチコード」を読んだときのことを思い出す。この「天使と悪魔」のほうが「ダヴィンチコード」よりも以前に書かれたらしい。どちらも、なにさんやったかな、ラングドンやったかな、そうあの、映画でトム ハンクスが演じたあの同じ教授のお話。この「天使と悪魔」を読んでいて驚いたのが、ラングドン教授がスーパーマンみたいにどうやっても死なへんところ。「ダヴィンチコード」のときはそんな驚きなかったように覚えているし、もっと淡々と情報を集めて事件を解決していったような気がするので、「え?そういうキャラやったっけ?」と驚いた。そしてそれがありえへんくらい死なへんもんやから読み手としてはかなり困った。もうこら絶対死なへんな、とわかるのでハラハラドキドキが途中から減ってしまって残念。

「ダヴィンチコード」が世界的に売れて大人気やったときに思ったのは、「この本って美術史の知識とかなくても楽しめるのかな?」ということだった。「ダヴィンチコード」の舞台はパリとたしかイギリスやったと記憶しているんやけど、パリのほうは知識もあるしダヴィンチの作品に関する知識もあるので、建築や絵画の話になっても「ふむふむ、あれな。」とついていけるけど、イギリスのほうに舞台が移ると頭に風景などが入っていないので、どうしてもリアル感が減る。今回の「天使と悪魔」を読んでいて、10年以上前に一度しか行ったことのローマなのに、ものすごくちゃんと覚えていたし、もちろんベルニーニの作品に関してもある程度の知識はあるので困らなかったし、楽しめた。でもパリやローマに観光でしか来たことがなくてルネッサンス、美術史、図像学に関する知識もない世の中の大半に人にとってはどうなんやろうかと今でもよくわからない。
それとは逆に、ひとつひとつの「発見」が30秒ごとくらいの頻度でものすごくおおげさに書かれているので、「ええ!そんなことそれ見つけたときにわかってると思ってたのに、まだやったんや!」とラングドンさんの遅さにびっくりさせられたり。

どちらにしてもなんだかんだツッコミいれたりしながら、読み物として私は楽しく読める類いの本です。そしてやっぱりダン ブラウンの調査には脱帽する。奥さんが美術史家らしいので、美術史研究家たちの世界を知ってるわけで、こういう読み物的なものをものすごいスケールで書くのってある意味すごく勇気のいることだと思うので、そのへんも偉いなあと思います。プラスベストセラーにしてしまうってのがすごい。

でもなぜか4つにならない星3つ。



| 17:53 | アメリカ | comments(0) | trackbacks(0) |
Paul Auster 「City of Glass」/ポール オースター 「シティ オヴ グラス」
評価:
Paul Auster,Paul Karasik,David Mazzucchelli
Picador USA
¥ 832
(2004-07)

評価:
ポール・オースター
角川書店
---
(1993-11)

義弟が最近カクテルに凝っている。だから家に行くと毎回みんなでカクテル作りを楽しむ。「どんなカクテルをお願いしよーかなー」とカクテル種本をめくっていたら、「フィッツジェラルド」という名前のカクテルを発見した。そのとき家にある材料で作ることができるということで、早速フィッツジェラルドをオーダー。そこでやはりカクテルではない作家のフィッツジェラルドの話になって、ニューヨーク辺りを舞台にした小説たちの話になった。「なにか面白い本あったら貸して。」と言ったら、「フィッツジェラルドが好きで、カポーティをこれからいろいろ読みたいと思ってるんだったら、、、ポール オースターはどう?」と本棚からオースターのニューヨーク三部作を取って渡してくれた。

フランス語訳なので、一作目は「Cite de verre」というタイトルがついている。ま、直訳。
三作が一冊の本におさめられているので(日本のは三作別々の本になっているよう)すべてを読んでからここに書こうと思っていたのだけれど、一作目を読んで次を読み始めるまで時間があいてしまったので、別々に書くことにする。

シティ オブ グラスを読んでいるときも読み終わったときも面白すぎて、本の文章を目で追っていないときでもその内容について思いを馳せたり考えたりしていた。そしていま二作目を読んでいるところなんだけれど、一作目であるシティ オブ グラスの内容とリンクするところがもちろんあって、そういうのも含めて興味深く考えることが多くて、そうなるとこれまたシティ オブ グラスの面白さが増長されるという素晴らしい循環が私の中で起こっている。

義弟に、フィッツジェラルドともカポーティとも全然ちゃうじゃないか。と言ったけれど、でもオースターを紹介してくれて本当にありがとう。と心から感謝した。私の非常に少ない小説家の知識では村上春樹と世界観が似てるような気がする。書かれた文章の簡潔さと潔さと無駄の無さと描写力と表現力とそして何よりも爽快な心地よさが似ていると思う。

話の内容をものすごーーーく簡単に言うなら、ある作家が探偵もどきのことをする、というものなのだが、別にそれは重要ではない。他人を監視し分析するということ、作家という存在、文学とは何か、文章とは何か、言葉とは何か、自分とは何か、時間とは何か、言語とは何か、そういったことがこの小説のなかに星のようにちりばめられている。それらのかけらに気づくときもあれば、きっと気づかずに文章のまま読んでしまっていることもあっただろう。でもそれを悔やんではいない。今現在の私が気づくことができるのはそれらのかけらだっただけのこと。そのかけらたちで私はいろんなことを思い考え楽しんだ。またいつかこの小説を読めば他のかけらに気づくだろう。そしてそのときの私はそのかけらたちでいろんなことを思い考え楽しむだろう。

ひとつ残念に思ったのは、私がニューヨークの地理に詳しくないことだった。詳細に主人公が歩くルートが数ページに渡って書かれている。「○○ストリートを東に○○ブロック行って、そこを右に渡って、○○アベニューにつきあたったところで、、、」などとルートのことしか書いてないことが何度も出てきた。私の頭にニューヨークの地図が入っていたら、多分その数ページのルートに何かの意味があったんだろう。しかし私の頭にはパリの地図はあってもニューヨークの地図はそこまで詳しく入っていない上、私はニューヨークの地図を買ってきて主人公のルートをなぞるほどの忍耐強さもなかった。次回読み直すときはニューヨークの地図を前もって買っておこうと思う。もしかしたらルートにはなんの意味もないのかもしれないけれど。


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| 14:58 | アメリカ | comments(0) | trackbacks(0) |