海外に住む人なら理解してもらえるだろう、手に入る日本語の本はとにかく何でも読んでみる、という経験。自分の好みとは関係なく読み散らした本について書き散らす備忘録的ブログ。パリ在住なのでフランス語の本も多数。
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乃南 アサ 「しゃぼん玉」
 今年の夏は一週間しか日本に帰らなかった。そんなことは私のフランス生活始まって以来。ということは10年間も毎年きっちり夏には1ヶ月以上帰国していたことになる。今年の8月は他の場所に行かなければいけない用事があって、それプラス日本帰国というのは経済的に苦しかったからあきらめたものの、私が生まれ育った家から家族が8月はじめに引っ越すことが決まり、結局夫に「日本に帰る資金を貸してください。」と頼んで、仕事も「私のーおうちがーなくなるんですー。私ーもうこれでー根無し草になるんですー。」と泣いて1週間だけ7月の中旬に休ませてもらった。「後悔しない」ということが人生の最大目標としている私なので、最後にあのおうちにアデューとメルシーを言いに行けば、それが私のなかでのひとつのお葬式になり、人生を一ページをめくれると思ったから。自分のことは私が一番良く知っているので、実際その思いは的中し、もう未練もなにもありません。新しい家はまだ完成していなかったけれど、建設中のところを見れたし、両親だけでは大変であろう引っ越しの荷造りの手伝いもできたし、なにより「私のおうち」でだらだらしっかり一週間過ごせた。そんな風にだらだらしながら、ダンボール箱に詰め込み中の小説を四冊読んだ。

それの一冊目が乃南 アサの「しゃぼん玉」。乃南 アサの本はここにも書いた「凍える牙」しかその時点では
読んだことがなかった。私は「凍える牙」の主人公である音無さんのキャラがどうしても好きに
なれない。音無さんはシリーズにもなっているようで、人気があるんだろうけど、私は彼女が
嫌い。だから「うーん、どうしよかな。」と躊躇したけれど、読んでみた。
そしたらすごく好きだった。犯罪を犯した少年が逃げ場を求めて田舎に行き、そこで別の誰か
と間違われておばあちゃんと住みだす。そんな彼を巡る田舎の人たちの話と彼の成長。ってな
感じで話は進む。もうそんなええ話あるわけないやん!そんなうまいこといくわけないやん!
とつっこみをいれつつも、私はもう号泣でした。
これが小説のいいとこ。別にいいの、それで。
最後には「ええはなしやったなー」と洟をかみながら、知り合いのことのように「良かった良
かった。」と本に向かって話しかけ、「私のおうち」のベッドに潜り込む。

ありきたりなことかもしれないけれど、なんだか幸せな気分になる小説だった。
もっと彼女の小説は読みたくなった。(それでもやっぱり音無さんは嫌いですけど)
| 21:20 | 日本 | comments(0) | trackbacks(0) |
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