海外に住む人なら理解してもらえるだろう、手に入る日本語の本はとにかく何でも読んでみる、という経験。自分の好みとは関係なく読み散らした本について書き散らす備忘録的ブログ。パリ在住なのでフランス語の本も多数。
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Amelie Nothomb/アメリー ノートン 「Attentat/愛執」
評価:
Amelie Nothomb
Livre de Poche
¥ 659
(2001-10-07)

評価:
アメリー ノトン
中央公論新社
---
(2005-12)

 アメリー ノートンの作品を読むのはこれが初めて。もう10年くらい前になるんだろうか、彼女の書いた「stupeur et tremblement/畏れ慄いて」を原作とした映画は見たことがある。彼女は日本生まれのベルギー人で、映画化されたこの作品では、彼女が大人になってから日本で会社員として働いたときの経験が語られていて、日本の企業という社会システムの枠組みを批判するものとして映画公開当時、そして今でもフランス人たちに「あの映画に描かれているようなことは本当にあるの?」と聞かれる。私はあると思うけどなあ。もちろん誇張されている部分はあると思うけど、うまく立ち回っていかないあの主人公のようなうるさい女はああいう目にあうこともあり得るような気がしてた。

さてさて、今回読んだこの本は、そのベストセラーの2年前に出版されたもの。
顔も世界一醜く、体も汚く、あだ名は「カジモド(「ノートルダムのせむし男」の主人公の名前)」な、ある男の話。その醜さゆえに周囲から避けられ、道を歩けば畏れおののかれ、母親にも気持ち悪がられる、という子供時代を歩んできた彼だから、性格もひんまがっている。そりゃそうやわな。そんな彼が「ノートルダムのせむし男」や「美女と野獣」のご多分に漏れず、絶世の美女に出会い、恋をする。

彼はいろいろあって性格がひんまがってしまったけど、頭が悪い人間ではないし、美しいものは心から絶賛する。どんなに恋する相手と仲良くなれても、やっぱりそれどまり。彼は彼女に告白することさえもままならない。

私好みの軽く面白い小説だった。上に書いたようなあらすじだと、ただの不細工がただの美人を好きになるラブストーリーかと思われそうだが、そうではない。現代の中途半端な偽善心で無意識に私たちの頭に組み込まれた、「人は外見で判断しちゃだめだよねー」「中身だよねー」という一般「ちょっと待った!」をかける。
かなり最後のほうにさしかかるまでは、主人公の不細工男の性格がひんまがってるのと恋されてる美女の普通の女っぷりというか馬鹿っぷりが、皮肉たっぷりでおもしろくてぐんぐん読んで、最後の最後に「そうやそうや!あんたはアホではなかった!」とその美女に同意しまくり、そして最後の最後の最後は、「やっぱりこういう終わり方しか無理よな。」と納得の幕引き。予想通りの幕引きだとしても、この本に書かれていること、作家が指摘している展がそれまでの構成で明確すぎる上、あまりにも筋に沿ってるので、すとんと受け止められる。

フランス語も簡単で読みやすいし、なかなかいいです、アメリー ノートン。

| 12:56 | フランス | comments(0) | trackbacks(0) |
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