海外に住む人なら理解してもらえるだろう、手に入る日本語の本はとにかく何でも読んでみる、という経験。自分の好みとは関係なく読み散らした本について書き散らす備忘録的ブログ。パリ在住なのでフランス語の本も多数。
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帚木 蓬生 「薔薇窓」
 またまた帚木 蓬生でございます。相変わらず大好き。

「薔薇窓」は1900年のパリを舞台にしたミステリーちょっと恋愛小説。

1900年のパリといえばおわかりでしょう、そう、フランスがめちゃくちゃお金持ちだったと
き、万博を10年に一回くらいの割合でがつがつ開催していた19世紀後半のお話。エッフェル
塔やらグランパレやらがんがん建てちゃって、そのうえ同じぐらいの歴史的建造物になるはず
のものを万博が終わったら壊してしまっていたくらいの、今から考えてたらすごい時期。
私は「タイムマシンがあればどの時代に行きたい?」と聞かれたら「1900年のパリ、もしく
は19世紀前半の江戸時代の東京」と即答するくらい19世紀後半のパリ万博が気になってる人
なのでこの小説は本当に楽しめた。

これ合成じゃないよ。ほんまにこんなん建ってたん。

そんな世界中からの旅行者や芸人が集まってくるパリを舞台に、今で言う北マレ地区の下町に住みながら、シテ島の県庁で、精神的問題を抱えているように思われて保護された人々や
犯罪者を相手に精神科医として働くフランス人医師の周りで起きる、若い女性たちの失踪事件の物語。
私はシテ島からも北マレからも徒歩10分ほどのちょうど間のところに住んでいるので、もうめちゃくちゃ楽しめた。1900年のパリが躍動感あふれる描写で描かれており、いつもの帚木 蓬生の作品のように登場人物たちも個性豊か。事件自体も手に汗握る感じで、本当に
おもしろかった。

パリの土地勘がない人や、昔のパリのことを全然知らない人が読んでもおもしろいと思うのか
どうかは謎ですが、、、。ダン ブラウンの「天使と悪魔」とか「ダヴィンチコード」とか
西洋美術史やヨーロッパの街並を知らない人たちの間でも、あんなにベストセラーになったこ
とを考えると楽しめるのかな。
それに、私はベルリンのことも大して知っているわけでもないし、戦時下のドイツの状況に詳
しいわけでもないけれど、「ヒトラーの防具」をすごくおもしろいと思ったから、多分問題な
いんでしょう。

というわけでまたまた帚木 蓬生おすすめです。ってかほんまに好き。


| 23:21 | 日本 | comments(0) | trackbacks(0) |
村上春樹 「レキシントンの幽霊」
評価:
村上 春樹
文藝春秋
¥ 480
(1999-10)

最近このブログに書く本同様、何ヶ月も前に読んだので実際のところちゃんと覚えてないや、、、。
村上春樹の作品は今まで読んだもの全てどれもすごく好きなんやけど、短編集は初めて。それが原因かもしれないけれど、どれも「おーーきたきた。春樹世界に入り込めはじめた!」と思いかけたら、物語が終わってしまう、というオチが毎回の私のなかでおきて、ちょっとジレンマ。

映画を見に行ってものすごく良いと思った「トニー滝谷」の原作が入っていて、うれしかった。そのうえ原作もすごく良かったし、原作の雰囲気が素晴らしく映画に反映されていて、市川準監督あっぱれ!



| 22:56 | 日本 | comments(0) | trackbacks(0) |
辻仁成 「二十八光年の希望」
評価:
辻 仁成
集英社
¥ 680
(2006-10-18)

 私の仁成人生二冊目でございます。
良くもなく悪くもなく、ものすごいふっつーに最初から最後まで読みました。
ミシュランの星(レストランの格付け)を巡っての男女物語。
フランスに住んでて「あそこが星とったとらへん、いくつ」などという話を日本にいるときよりも身近に聞く状況にあるから、もうちょっと楽しめるかな、と思ったけれど、無理でした。料理人をアーティスト的に捉えて、五感を働かせてどっちゃら的な話の展開なんやけれども、ここでもふうん、という感じ。自分を犠牲にしてなんちゃらキャリアと名声がなんちゃらっていうところもふうん。
こんなに無反応に読んだけれど、別に反感を覚えることもなかったので、逆に星三つ。
こうなるともしかして星一つとか二つのほうが、いろいろつっこんだりできて読み応えある本ってことなんじゃないか、という気がしますね。

やっぱラブストーリーに反応できない人間みたい、私。
| 22:37 | 日本 | comments(0) | trackbacks(0) |