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評価:
帚木 蓬生
新潮社
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(2003-12)
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評価:
帚木 蓬生
新潮社
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(2003-12)
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またまた
帚木 蓬生でございます。相変わらず大好き。
「薔薇窓」は1900年のパリを舞台にしたミステリーちょっと恋愛小説。
1900年のパリといえばおわかりでしょう、そう、フランスがめちゃくちゃお金持ちだったと
き、万博を10年に一回くらいの割合でがつがつ開催していた19世紀後半のお話。エッフェル
塔やらグランパレやらがんがん建てちゃって、そのうえ同じぐらいの歴史的建造物になるはず
のものを万博が終わったら壊してしまっていたくらいの、今から考えてたらすごい時期。
私は「タイムマシンがあればどの時代に行きたい?」と聞かれたら「1900年のパリ、もしく
は19世紀前半の江戸時代の東京」と即答するくらい19世紀後半のパリ万博が気になってる人
なのでこの小説は本当に楽しめた。
これ合成じゃないよ。ほんまにこんなん建ってたん。
そんな世界中からの旅行者や芸人が集まってくるパリを舞台に、今で言う北マレ地区の下町に住みながら、シテ島の県庁で、精神的問題を抱えているように思われて保護された人々や
犯罪者を相手に精神科医として働くフランス人医師の周りで起きる、若い女性たちの失踪事件の物語。
私はシテ島からも北マレからも徒歩10分ほどのちょうど間のところに住んでいるので、もうめちゃくちゃ楽しめた。1900年のパリが躍動感あふれる描写で描かれており、いつもの帚木 蓬生の作品のように登場人物たちも個性豊か。事件自体も手に汗握る感じで、本当に
おもしろかった。
パリの土地勘がない人や、昔のパリのことを全然知らない人が読んでもおもしろいと思うのか
どうかは謎ですが、、、。ダン ブラウンの「天使と悪魔」とか「ダヴィンチコード」とか
西洋美術史やヨーロッパの街並を知らない人たちの間でも、あんなにベストセラーになったこ
とを考えると楽しめるのかな。
それに、私はベルリンのことも大して知っているわけでもないし、戦時下のドイツの状況に詳
しいわけでもないけれど、「ヒトラーの防具」をすごくおもしろいと思ったから、多分問題な
いんでしょう。
というわけでまたまた帚木 蓬生おすすめです。ってかほんまに好き。